九分九厘無益

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左利きでも悪くはない

私は左利きである.そして右利きの人はあまり感じたことがないだろうが,世の中は右利きを前提として作られたものや仕組みが意外とある.そのため毎回それらのものを使うときに左利きの人は苦労するのである.一番苦労するのがはさみだ.もちろん左利き用のはさみも世の中には存在し,左利きの人は十中八九そのはさみを使っているのだが,時々マイはさみを持ち合わせていない時に,はさみを使わなければならない状況が訪れる.そのような場合ははさみをパッと渡されて,「これ切っといて」とか言われるのだが,まあ右利き用のはさみでは切れない.右利き用のはさみを強引に左手で使おうとすると,全くもって切れないかもしくは切り口が汚くなるかの二択である.じゃあ右手で切ればいいじゃないかという右利きの人からの鋭いツッコミが飛んで来そうだが,そちらも上手く力が入らずに切り口がふにゃふにゃになってしまう.結局「すいません,私左利きなんで左利き用のはさみありますか?」って聞くと「じゃあもういいよ,別の人にやってもらうんで」とかなってとても申し訳ない気持ちになる.どうせ相手からしたら「はさみもろくに使えねぇのか,使えねぇ奴だな」とか思われているのだろう.他にも駅の改札機やおたまなど挙げだしたらきりが無いのでこの辺でやめておく.

 

さて本題に入るが,もちろん左利きで苦労する面もあるが,実は得することもある.まずはスポーツに関して,左利きの選手は有利に働くケースが多い.例えば野球では左打ちの方が内野安打での出塁率が高くなる傾向にある.実際日本のプロ野球選手の中では左打ちの選手が多い.まあここまで聞いて「どうせスポーツを生業とする人にとってはそうかもしれないけど,素人じゃ特に得にはならないでしょ」というツッコミが入るだろう.まあ確かにそうだが,左利きだと「あいつ左利きだな」って高い確率で言われる.私はそんなに野球は上手くなかったが,それでもなんか話題にしてくれるだけで嬉しい.さらに中学時代にサッカー部に所属していたのだが,たいして上手くもなかったのに左利きという理由で左サイドのバック(守るポジション)かハーフ(攻めるポジション)で試合に出してもらっていた.この時は左利きで良かったと心から思った.右利きで私より上手い人は何人かいたのに,その人たちを差し置いて試合に出場できたのは間違いなく左利きのおかげだろう.

 

日常でも左利きの良さを実感できた場面はいくつかある.一例として,4人くらいでご飯に行くとき,左利きの人は必ず座る位置を気にする.間違った場所に座ってしまうと食事中隣の人と腕が当たり,非常に食べづらい.そのため座る前に必ず「私左利きなんで奥へどうぞ」と言ったり,「私左利きなんで奥へ座りますね」と言ったりして隣の人の迷惑にならないよう気をつける.そうすると「〇〇さんって左利きなんだね」っていう振りが飛んでくるので,そうなったらもうこっちのもので「箸とかボールを投げるのは左利きなんですけど,鉛筆は矯正されて右で書くんです!だから右手で書きながら左手に消しゴムを持てるのでとても便利です!」とかいう,冷静に考えたらいつ使うのかもよく分からない謎の特技でひと笑い取ることができる.まあ実際この特技はマーク式の試験とかで最後の最後にミスに気づいてわあわあなってる時に使うことができるので,役に立たないこともない.

 

結論を言うと確かに今の社会では左利きの人は住みにくい世の中かもしれないが,話の種としたりする分には悪くないと思う.あとは左利きの人同士で「この機械とか左利きには使いづらいよねー」って言う話で盛り上がれる,左利き用の商品を見つけた時にとてもテンションが上がる等があるだろう.マイノリティはマイノリティなりの工夫をしているということを,マジョリティの人たちは完全に理解してほしいとは言わないまでも頭の片隅においてほしいものである.